認知・行動
2025.02.23
認知・行動領域は、物事を理解し、考え、計画し、適切な行動をとる力を育むための重要な発達領域です。この領域が発達することで、子どもは日常生活の中でルールを理解し、状況に応じた行動をとれるようになります。
認知・行動の発達が未熟な場合、注意の持続が難しい、感情をコントロールできない、物事の優先順位をつけられないといった困りごとが生じることがあります。
このような困りごとはありませんか?
- 物事の順番やルールを覚えられない
- 因果関係が理解しにくい(「AをするとBになる」がわからない)
- 物事の優先順位をつけるのが苦手
- 指示を理解するのに時間がかかる
- 予測ができず、予定の変更や突然の変化に対応できない
- 落ち着きがなく、じっとしていられない
- 急に大声を出したり、衝動的に行動してしまう
- 自分の気持ちをコントロールできず、癇癪を起こす
- 失敗を極端に嫌がり、挑戦を避ける
- 一つのことにこだわりすぎて、切り替えが難しい
発達障害のある方は短期記憶の力が他の力に比べて弱いことがあります。また語彙力が弱かったり、言葉通りに受け取ってしまう特性があったりします。そこに周囲から不適切な対応や批判的な言動が続くと、本人の自己評価が下がり、自己肯定感が低下します。誤った対応がストレスやフラストレーションを引き起こすと、問題行動が悪化したり学習意欲もなくなり生活の質そのものが落ちていく「二次障害」を引き起こす可能性があります。
「二次障害」は発達障害などの特性によって周囲から誤解されたり、うまく適応できなかったりすることで、強いストレスや心の負担が積み重なり、後から現れる精神的・行動的な問題 のことです。
困りごとの背景にあるもの
- 記憶力や情報処理の難しさにより、ルールや順番を覚えにくい
- 認知の偏り(視覚優位・聴覚優位など)があり、指示の理解に差が出る
- 衝動を抑える力(自己制御)が未発達
- 予測や計画を立てる力(実行機能)が弱く、行動が場当たり的になりやすい
- 感情のコントロールが難しく、ストレスに対処できない
わたしたちの支援の工夫
- ルールを視覚的に示す(絵カード、スケジュール表の活用)
- スモールステップで学び、成功体験を積ませる
- 手順を分かりやすく伝え、「何をする→どうする→どうなる」を明確にする
- 「〇〇の後は△△をするよ」と予測を立てる練習をする
- 具体的な例を示しながら説明する
- 衝動的な行動を防ぐために、「〇〇したい時はどうする?」と選択肢を示す
- 気持ちを言葉で表現できるよう、「○○って言えばいいよ」と具体的に伝える
- クールダウンできる場所や時間を用意し、感情のコントロールを促す
- 興奮しやすい場面では事前に対策を考え、「こうなったらこうする」と練習する
- 達成できたことを具体的に褒め、モチベーションを高める
認知・行動の発達には、一人ひとりの特性に合わせた支援が重要です。指示をわかりやすく伝えたり、成功体験を増やしたりすることで、子どもが自信を持って行動できるようになります。環境の調整と適切なサポートにより、スムーズな学びと生活の充実を促しましょう。
児童発達支援の5領域