運動・感覚
2025.02.23
運動・感覚領域は、子どもが身体をうまく使い、環境と適切に関わるための基盤となる重要な発達領域です。子どもが自分の身体をコントロールできるようになれば、感覚の過敏さや鈍さに対する適応力も向上し、日常生活の自立や学習、コミュニケーションの向上にもつながります。
このような困りごとはありませんか?
- 転びやすい、バランスを取るのが苦手
- 走るのが遅い、ジャンプができない
- ボールを投げたりキャッチしたりするのが苦手
- 手先が不器用で、ハサミや箸をうまく使えない
- 筆圧が弱く、文字を書くのが難しい
- 触られるのを嫌がる、特定の素材の服を嫌がる
- 大きな音や特定の音を極端に怖がる
- 体の位置感覚がつかめず、椅子にじっと座っていられない
- 目で物を追うのが苦手で、読み書きに影響が出る
- 力加減が分からず、強く押しすぎたり弱すぎたりする
このような困難が続くと、子どもはだんだんと運動嫌いになったり、できないことを周囲から指摘され続けることで、自信を失い、挑戦する意欲が低下することもあります。特に過敏な子どもは、不安や恐怖を感じて集団生活の中で萎縮してしまうことがあります。一方で感覚が鈍い子どもは、適切な力加減や動作が身につかず、友達との関わりで誤解やトラブルも起こりやすくなります。周囲の支援が適切でない場合、このような「二次障害」が起こる可能性があります。
「二次障害」は発達障害などの特性によって周囲から誤解されたり、うまく適応できなかったりすることで、強いストレスや心の負担が積み重なり、後から現れる精神的・行動的な問題 のことです。
困りごとの背景にあるもの
- 感覚が過敏すぎたり鈍すぎたりして、環境の刺激に適応しづらい
- 体の動きをコントロールする力(協調運動)が未発達
- 自分の身体の位置や動きが把握しにくい(固有受容感覚の問題)
- バランスを取る能力(前庭感覚)が不十分で、安定した姿勢が難しい
- 力加減を調整することが難しく、動作にぎこちなさがある
わたしたちの支援の工夫
- バランスボールや鬼ごっこなど体を動かす遊びで体幹を鍛える
- ボール遊びやキャッチボールで手と目の協調運動を促す
- 指先を使う遊び(折り紙、粘土、紐通しなど)を増やす
- 触覚が過敏な場合、少しずつ異なる素材に触れる機会を増やす
- 大きな音が苦手な場合、ヘッドホンや耳栓で調整する
- 体の位置感覚がつかみにくい場合、クッションや重みのあるブランケットを活用する
- 目で追う力を養うために、ビジョン&ブレイントレーニングや視追系ワークを取り入れる
- 力加減の調整が難しい場合、「ぎゅっと」「そっと」などの言葉を使って力の加減を意識させる
運動・感覚領域の発達には、子どもそれぞれの特性を理解し、無理なく楽しみながら支援を行うことが大切です。「できないこと」に焦点を当てるのではなく、「できること」を増やす工夫をすることで、自信を持ち、生活全般のスキル向上につながります。
児童発達支援の5領域